第四章⑧ 費用グループの仕訳
目次
費用の発生は「借方」、取消は「貸方」へ記入する
「費用」グループの基本的な仕訳をみていきましょう。
おもな費用グループの勘定科目を復習すれば、つぎのとおりです。
- 仕入
- 給料
- 通信費
- 旅費交通費
- 水道光熱費
- 事務用品費
- 広告宣伝費
- 接待交際費
- 有価証券売却損
費用の仕訳の基本ルールはつぎのとおり。
借方に増加である「発生」、貸方に減少である「取消」とします。
借方 | 貸方 |
発生 | 取消 |
仕入(しいれ)の仕訳
商品を仕入れたときは、「仕入」となります。
なお、ここでいう商品とは、「取引先に売るために買った商品」です。
あたり前ですが、店主が趣味で買った商品は、仕入ではありません。
商品を仕入れ、代金20万円は掛けとした。
借方 | 貸方 |
仕入 200,000 | 買掛金 200,000 |
商品の仕入れは「仕入」という費用グループであらわされます。費用グループの発生は「借方」になります。
仕入れた商品のうち、3万円分は品違いであったため、返品した。
借方 | 貸方 |
買掛金 30,000 | 仕 入 30,000 |
仕入れた商品を返品したのですから、仕入の「取消」です。
費用の取消は「貸方」となります。
なお、取消の仕訳は、以前に行った仕訳の逆仕訳を行うことになります。
したがって、「借方」には、買掛金が記入されることになります。
事務用品費(じむようひんひ)の仕訳
会社では、いろいろな事務用品が必要です。
書類を書くためにはペンや消しゴムが必要ですし、取引先へ書類を郵送するには、封筒も必要です。
このようなさまざまな事務用品は「事務用品費」となります。
ペン・消しゴムを購入し、代金2,000円は現金で支払った。
借方 | 貸方 |
事務用品費 2,000 | 現金 2,000 |
ペンや消しゴムは「事務用品費」です。事務用品費は費用グループですので、発生は「借方」となります。
広告宣伝費(こうこくせんでんひ)の仕訳
新商品の発売やバーゲンセールでは、テレビのCMや新聞にチラシなどが出ます。
みなさんも毎日のように目にしていると思います。
これらのCMやチラシに代表される広告費は、「広告宣伝費」となります。
新聞広告を掲載し、代金30万円を支払った。
借方 | 貸方 |
広告宣伝費 300,000 | 現金 300,000 |
チラシ広告を作成し、代金20万円は、現金で支払った。
借方 | 貸方 |
広告宣伝費 200,000 | 現金 200,000 |
有価証券売却損(ゆうかしょうけんばいきゃくそん)の仕訳
有価証券を売却した結果、損をすることもあります。
株の売買で儲けることは、なかなか難しいのが現実です。
損をしたときは「有価証券売却損」であらわします。
100万円で購入した株券を売却し、代金80万円は現金で受け取った。
借方 | 貸方 |
現 金 800,000 有価証券売却損 200,000 | 有価証券 1,000,000 |
100万円で購入した株券を80万円で売ったのですから20万円の損をしたことになります。
これは「有価証券売価損」という費用グループの発生になります。費用グループの発生は借方です。
固定資産売却損(こていしさんばいきゃくそん)の仕訳
土地や建物、あるいは車両運搬具は「固定資産」です。
この固定資産を売却したことによって、損失が出たときは、「固定資産売却損」であらわします。
800万円で購入した建物を売却し、代金500万円は現金で受け取った。
借方 | 貸方 |
現 金 5,000,000 固定資産売却損 3,000,000 | 建 物 8,000,000 |
800万円で買った建物を500万円で売れば、300万円の損失が出ます。
これが「固定資産売却損」です。費用の発生となります。
なお、建物を売却したのですから建物は減少します。
建物は資産グループですから減少は、「貸方」となります。
【速攻!チェック問題・費用編】
次の仕訳をしなさい。
【問題】
【1】群馬株式会社は、埼玉株式会社から商品200,000円を仕入れ、代金は掛けとした。
【2】長野株式会社は、ペン・消しゴムを購入し、代金2,000円は現金で支払った。
【解答】
【1】(借方)仕入 200,000 / (貸方) 買掛金 200,000
【2】(借方)事務用品費 2,000 / (貸方) 現金 2,000