第四章① 仕訳の意味を知る

仕訳とは何か

 

ビジネスの世界で、簿記がその存在価値を保ち続けている理由の一つは仕訳です。
どんなに複雑な取引でも、仕訳によって単純に整理することができるからです。
仕訳を見れば、それがどのような取引なのか、を推理できます。

仕訳は、複雑な取引を単純に整理する技術といえます。

たとえば、

「古い取引先であるA社から社長同士の信頼関係のもと、現金100万円を借り入れることができた」
という取引内容の仕訳は、つぎのようになります。

借方貸方
現金 1,000,000借入金 1,000,000


仕訳には、A社との取引が古い、社長同士の信頼関係がある、などの事情は明記されません。
極めて、単純に事実だけが、記入されます。
複雑な取引を単純に整理できることは、会社にとって効率的です。
ひとつ一つの複雑な取引事情を記入するほど、会社や社員には、時間的余裕がないからです。

仕訳は、取引を単純化する


仕訳は、伝票に「勘定科目」と金額を記入することで、取引を単純化します。
さらに、仕訳によって、取引事実を読み取ることができます。
つぎの仕訳は「借入金によって、現金10万円が増えた」という取引を意味します。

借方貸方
現金 100,000借入金 100,000

 

では、この勘定科目が正反対のとき、どのような取引を意味するでしょうか。

 

借方貸方
借入金 1,000,000現金 1,000,000

 

この仕訳は「借入金10万円を現金で返済した」という意味になります。

伝票に「勘定科目」と金額を記入することで、取引事実を知ることができるのが仕訳です。
仕訳は、「借方」から「貸方」へ勘定科目が動くことで全く違う意味にもなります。
それでは、なぜ仕訳によって取引内容の省略化ができ、取引事実を知ることができるのでしょうか。
それは、仕訳には、あらかじめ決められた「仕訳のルール」があるからです。
それでは、つぎに仕訳のルールをくわしくみていきましょう。

仕訳の意味を知る まとめ

  • 仕訳は、複雑な取引を単純に整理する技術といえます。
  • 伝票に「勘定科目」と金額を記入し、取引事実を知ることができるのが仕訳です。
  • 仕訳には、あらかじめ決められた「仕訳のルール」がある。

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