第六章⑤ 受取手形帳と支払手形帳とは
受取手形記入帳とは何か
受取手形記入帳とは、約束手形を受け取ったときに記入する補助簿です。
受け取った約束手形や為替手形を管理するために使用するものです。
受取手形記入帳とは、つぎのようなものです。
受取手形記入帳
日付 | 種類 | NO | 摘 要 | 支払人 | 振出人他 | 振出日 | 満期日 | 支払場所 | 手形金額 | てん末 |
4/2 | 約束 | 20 | 売掛 金 | G社 | K社 | 3/31 | 5/31 | E銀行 | 800,000 | 5/31 当座入金 |
4/10 | 為替 | 43 | 売 上 | H社 | M社 | 4/5 | 6/10 | F銀行 | 300,000 |
[受取手形記入帳の見方]
・日付
手形を受け取った日です。
・種類
受け取った手形の種類を記入します。
「約束手形」か「為替手形」のどちらかになります。
・No
受け取った手形番号を記入します。
・摘要
受取手形の相手勘定を記入します。
受取手形記入帳は、必ず「借方」が受取手形になります。
摘要欄に記入されるのは「貸方」の勘定科目になります。
・支払人
手形代金を支払う人です。
・振出人
手形を振り出した人、あるいは裏書譲渡した人です。
・振出日
手形を振り出した日です。
この手形を振り出した日以降なら、手形割引などの手形の現金化が可能になります。
・満期日
手形代金を受け取る日です。銀行で手形の現金化の手続きが必要です。
・てん末
手形の最終的な処理を記入します。
受け取った手形が当座預金に入金した。あるいは、割引処理したなどを記入します。
受取手形記入帳と仕訳
受取手形記入帳から仕訳をしてみましょう。
まず、受取手形を受け取った4月2日の仕訳です。
[4月2日]
4月2日に約束手形を受け取ったときの仕訳をします。
借方は受取手形です。貸方は、「売掛金」が記入されます。
摘要欄には、「貸方」勘定が記入されているからです。
借方 | 貸方 |
受取手形 800,000 | 売掛金 800,000 |
同じように4月10日に為替手形を受け取ったときの仕訳をします。
[4月10日]
借方 | 貸方 |
受取手形 300,000 | 売 上 300,000 |
つぎに満期日である5月31日の仕訳をおこないます。
[5月31日]
4月2日の約束手形の満期日は5月31日です。
てん末には、当座預金入金と記入されています。
したがって、受取手形は決済されて、当座預金に入金されたことがわかります。
借方 | 貸方 |
当座預金 800,000 | 受取手形 800,000 |
支払手形記入帳とは何か
支払手形記入帳とは、手形を振り出したときに記入する補助簿です。
支払手形である約束手形や為替手形を管理するために使用するものです。
支払手形記入帳とは、つぎのようなものです。
支払手形記入帳
日付 | 種類 | NO | 摘 要 | 受取人 | 振出人 | 振出日 | 満期日 | 支払場所 | 手形金額 | てん末 |
5/31 | 約束 | 60 | 仕入 | L社 | W社 | 5/31 | 7/31 | U銀行 | 700,000 | 7/31 支払済 |
6/30 | 為替 | 77 | 買掛金 | S社 | V社 | 6/30 | 8/31 | M銀行 | 600,000 |
[支払手形記入帳の見方]
・日付
手形を振り出した日です。
・種類
支払った手形の種類を記入します。
「約束手形」か「為替手形」のどちらかになります。
・No
支払った手形番号を記入します。
・摘要
支払手形の相手勘定を記入します。
支払手形記入帳では、手形振り出しは、必ず「貸方」が支払手形になります。
摘要欄に記入されるのは「借方」の勘定科目になります。
・受取人
手形代金を受取る人です。
・振出人
手形を振り出した人です。
・振出日
手形を振り出した日です。
・満期日
手形代金を支払う日です。
・てん末
手形の最終的な処理を記入します。
振り出した手形が決済されたのか、などを記入します。
支払手形記入帳と仕訳
支払手形記入帳から仕訳をしてみましょう。
まず、支払手形を振り出した5月31日の仕訳です。
[5月31日]
5月31日に約束手形を振り出したときの仕訳をします。
貸方は支払手形です。借方は、「仕入」が記入されます。
摘要欄には、「借方」勘定が記入されているからです。
借方 | 貸方 |
仕 入 700,000 | 支払手形 700,000 |
同じように6月30日に為替手形で支払ったときの仕訳をします。
[6月30日]
借方 | 貸方 |
買掛金 600,000 | 支払手形 600,000 |
つぎに満期日である7月31日の仕訳をおこないます。
[7月31日]
5月31日に振り出した約束手形の満期日は7月31日です。
てん末には、決済と記入されています。
したがって、支払手形は決済されたことがわかります。
ふつう、支払手形の決済は当座預金から引き落とされます。
貸方には「当座預金」が記入されます。そして、借方には「支払手形」です。
借方 | 貸方 |
支払手形 600,000 | 当座預金 600,000 |
帳簿組織とは何か もくじ一覧