商品有高帳とは何か
商品を仕入れたのち、売り渡すまでの間は、しっかり商品の在庫管理をしなければなりません。ここでいう在庫管理とは、仕入れた商品の価額評価の方法を意味します。つまり、在庫商品の値段はいくらなのか、ということです。
この商品の在庫管理に役立つ帳簿が「商品有高帳」です。
まずは、次の[データ1]、[データ2]を使って、商品の在庫管理をみていきましょう。
[データ1]
商品の仕入れ実績
日付 | 数量 | 単価 |
4/1 | 10 | @100 |
4/10 | 20 | @120 |
4/20 | 10 | @80 |
[データ2]
商品の売上データ
日付 | 数量 | 単価 |
4/30 | 30 | @200 |
ここで、一つの疑問が生まれます。仕入れた商品の数は、合計40個です。しかし、仕入単価はバラバラです。このため、在庫となる商品10個の単価をいくらにすればよいのか、判断ができません。このため、売上原価や期末商品価額を決めるためのルールが必要になります。会社が勝手に売上原価や期末商品価額を決めることはできません。ここでは、基本的なルールである「先入先出法」「移動平均法」「後入先出法」3つを説明します。
先入先出法(さきいれさきだしほう)
これは、先に仕入れた商品から先に売り上げた、と仮定して売上原価と期末商品価額を決まる方法です。このケースでは、仕入れた商品のうち、先に仕入れた30個が、売り上がった、と仮定しますから、売れ残った在庫は、最後に仕入れた4/20日の分の10個となります。
わかりやすいように色分けすると青の部分が、売上原価、赤の部分が商品在庫分となります。
日付 | 数量 | 単価 |
4/1 | 10 | @100 |
4/10 | 20 | @120 |
4/20 | 10 | @80 |
[先入先出法の売上原価と期末商品]
売上原価 @100×10=1,000
@120×20=2,400
合計 3,600
期末商品 @80×10= 800
★先入先出法
商品有高帳
日付 | 摘要 | 受入 | 払出 | 残高 | ||||||
数量 | 単価 | 金額 | 数量 | 単価 | 金額 | 数量 | 単価 | 金額 | ||
4/1 | 仕入 | 10 | 100 | 1,000 | 10 | 100 | 1,000 | |||
4/10 | 仕入 | 20 | 120 | 2,400 | 20 | 120 | 2,400 | |||
4/20 | 仕入 | 10 | 80 | 800 | 10 | 80 | 800 | |||
4/30 | 売上 | 10 | 100 | 1,000 | ||||||
20 | 120 | 2,400 | ||||||||
合計 | 40 | 4,200 | 30 | 3,400 | ||||||
次月繰越 |
10 | 800 | ||||||||
5/1 |
前月繰越 |
10 | 80 | 800 | 10 | 80 | 800 | |||
仕入れた時にはその数量、単価、金額を受入に記入します。
売り上げた時にはその数量、単価、金額を払出に記入します。
注意点は、商品有高帳は商品の在庫を管理する為のもので、売上の時の売却価格は関係ないという事です。
移動平均法(いどうへいきんほう)
これは、仕入れた商品の平均単価を計算し、売上原価と期末商品価格を決まる方法です。
平均単価をつかって、売上原価と期末商品を計算しますからどちらも同じ単価になります。
日付 | 数量 | 単価 |
4/1 | 10 | @100 |
4/10 | 20 | @120 |
4/20 | 10 | @80 |
平均単価計算式 (@100+@120+@80)÷3=@100
[移動平均法の売上原価と期末商品]
売上原価 @100×30=3,000
期末商品 @100×10=1,000
★移動平均法
商品有高帳
年月日 | 摘要 | 受入 | 払出 | 残高 | ||||||
数量 | 単価 | 金額 | 数量 | 単価 | 金額 | 数量 | 単価 | 金額 | ||
4/1 | 仕入 | 10 | 100 | 1,000 | 10 | 100 | 1,000 | |||
4/10 | 仕入 | 20 | 120 | 2,400 | 30 | 113 | 2,400 | |||
4/20 | 仕入 | 10 | 80 | 800 | 40 | 105 | 4,200 | |||
4/30 | 売上 | 30 | 105 | 3,150 | ||||||
合計 | 40 | 4,200 | 30 | 3,150 | ||||||
次月繰越 | 10 | 105 | 1,050 | |||||||
5/1 | 前月繰越 | 10 | 105 | 1,050 | 10 | 105 | 1,050 | |||
[参考]
後入先出法(あといれさきだしほう)
これは、あとから仕入れた商品から先に売り上げた、と仮定して売上原価と期末商品価格を決まる方法です。
仕入れた商品のうち、後から仕入れた30個が、売り上がった、と仮定しますから、売れ残った在庫は、最初に仕入れた4/1分の10個となります。
わかりやすいように色分けすると青の部分が、売上原価、赤の部分が商品在庫分となります。
日付 | 数量 | 単価 |
4/1 | 10 | @100 |
4/10 | 20 | @120 |
4/20 | 10 | @80 |
[後入先出法の売上原価と期末商品]
売上原価 @120×20=2,400
@80×10= 800
合計 3,000
期末商品 @100×10=1,000
★後入先出法
商品有高帳
年月日 | 摘要 | 受入 | 払出 | 残高 | ||||||
数量 | 単価 | 金額 | 数量 | 単価 | 金額 | 数量 | 単価 | 金額 | ||
4/1 | 仕入 | 10 | 100 | 1,000 | 10 | 100 | 1,000 | |||
4/10 | 仕入 | 20 | 120 | 2,400 | 20 | 120 | 2,400 | |||
4/20 | 仕入 | 10 | 80 | 800 | 10 | 80 | 800 | |||
4/30 | 売上 | 10 | 80 | 800 | ||||||
20 | 120 | 2,400 | ||||||||
合計 | 40 | 4,200 | 30 | 3,200 | ||||||
次月繰越 |
10 | 1,000 | ||||||||
5/1 |
前月繰越 |
10 | 100 | 1,000 | 10 | 100 | 1,000 | |||