材料費とは何か
□材料
材料は、その生産すべき製品の素材となるものと考えて下さい。
材料のうち、製品の主要部分になるものを主要材料といいます。その他を補助材料といいます。
□工場消耗品費
軍手やマスクなど
材料費は、ある製品にいくらかかったのかが明らかかどうかによって、直接材料費と間接材料費に分類することができます。
[図解]
種類 | 内容 |
直接材料費 | 主要材料費、買入部品費 |
間接材料費 | 補助材料費、工場消耗品費 |
材料を購入したときの仕訳
例題 1
材料100,000円を仕入れ、代金は掛けで支払った。
借方 | 貸方 |
材料 100,000 | 買掛金 100,000 |
例題 2
材料100,000円を仕入れ、代金は掛けで支払った。
なお、引き取り運賃5,000円は現金で支払った。
借方 | 貸方 |
材料 105,000 | 買掛金 100,000 現金 5,000 |
材料を消費したとき(製造したとき)の仕訳
直接材料費の消費は、「仕掛品」勘定を使用します。
間接材料費の消費は、「製造間接費」勘定を使用します。
仕掛品(しかかりひん)とは、製品の未完成品のことです。完成途中の製品ということです。
例題
材料80,000円を消費した。
内訳は、50,000円が直接材料費、30,000円が間接材料費である。
借方 | 貸方 |
仕掛品 50,000 製造間接費 30,000 | 材料 80,000 |
消費単価の決定方法
材料を仕入れたあとは、商品の在庫管理をしなければなりません。
まずは、次の[データ1]・[データ2]を使って、材料の在庫管理をみていきましょう。
[データ1]
材料の仕入れ実績
日付 | 単価 | 数量 |
4/1 | @100 | 10 |
4/10 | @120 | 20 |
4/20 | @80 | 10 |
計 | 40 |
[データ2]
材料の消費データ
日付 | 単価 | 数量 |
4/30 | @200 | 30 |
ここで、一つの疑問が生まれます。仕入れた材料の数は、40個です。が、それぞれ仕入単価がバラバラです。
このため、在庫となる材料10個の単価をいくらにすればよいのか、わかりません。
このため、ルールが必要になります。
会社が勝手に価額を決めることはできないのです。
ここでは、基本的な「先入先出法」「移動平均法」2つのルールを説明します。
先入先出法(さきいれさきだしほう)
これは、仕入れた材料を先に仕入れた材料から消費した、と仮定して価額を決まる方法です。
仕入れた材料のうち、先に仕入れた30個を消費した、と仮定しますから、在庫は、最後に仕入れた4/20分の10個となります。わかりやすいように色分けすると青の部分が、売上原価、赤の部分が商品在庫分となります。
日付 | 単価 | 数量 |
4/1 | @100 | 10 |
4/10 | @120 | 20 |
4/20 | @80 | 10 |
[先入先出法の売上原価と期末商品]
売上原価 @100×10=1,000
@120×20=2,400
合計 3,600
期末商品 @80×10= 800
移動平均法(いどうへいきんほう)
これは、仕入れた材料の平均単価を計算する方法です。
平均単価をつかって、売上原価と期末商品を計算しますから同じ単価になります。
日付 | 単価 | 数量 |
4/1 | @100 | 10 |
4/10 | @120 | 20 |
4/20 | @80 | 10 |
平均単価計算式 (@100+@120+@80)÷3=@100
[移動平均法の売上原価と期末商品]
売上原価 @100×30=3,000
期末商品 @100×10=1,000
消費数量の計算
材料費の消費計算には、大きく2つの方法があります。
継続記録法と棚卸計算法です。
継続記録法は、材料の購入や消費のつど、帳簿に継続して記録する方法です。
これに対して、棚卸計算法は、そのつど、継続して記録するようなことせず、購入数量と月末実地棚卸数量との差によって、当月の消費数量を計算する方法です。
材料の棚卸減耗
材料が、帳簿棚卸数量よりも実地棚卸数量が少ないことがあります。入出庫の際などに喪失することがあるためです。これを棚卸減耗といいます。棚卸減耗によって生じた減少額を棚卸減耗費といいます。
材料費の予定消費単価を用いた場合
材料費の購入単価に実際単価を用いず、あらかじめ決められた消費単価、つまり予定消費単価を用いることが認められています。
理由の一つとして、製品の原価計算は、1か月で行われるため、実際単価を集計していては、市場動向に敏感に反応した原価を管理できないからです。
予定消費単価を用いた材料費の計算
材料費(予定消費額)=予定消費単価×実際消費量
例題 1
材料1000個、直接材料を消費した。予定消費単価は@500円である。
借方 | 貸方 |
仕掛品 500,000 | 材料 500,000 |
予定消費単価を用いても、実際単価は計算します。そうしないと実態に即した原価管理ができないからです。
それでは、どのようにチェックすべきでしょうか。
このことは、材料勘定を使ってみるとわかりやすくなります。
例題1に基づいた材料勘定の記載は、つぎのとおりです。貸方に予定材料費の金額500,000円を記載します。
借方 | 貸方 |
材料予定消費額 500,000 |
月末において、実際消費額を計算したところ、520,000円だったとします。
これを借方に520,000円と記載します。
借方 | 貸方 |
材料実際消費額 520,000 | 材料予定消費額 500,000 |
このケースは、実際消費額と予定消費額とに20,000円の差額が生じたことになります。
この差額は、「材料消費価格差異」で処理します。
つまり、実際消費額と予定消費額との差額は、価格の違いから生じたわけです。
借方 | 貸方 |
材料消費価格差異 20,000 | 材 料 20,000 |
材料勘定は、以下のようになります。
借方 | 貸方 |
実際消費額 520,000 |
予定消費額 500,000 材料消費価格差異 20,000 |
材料消費価格差異は、以下のようになります。
借方 | 貸方 |
材料 20,000 |