初級簿記①  簿記とは何か

簿記とは何か

まず、第一講座では、簿記を学ぶことで、ビジネスでどのように活かせるかを紹介します。
仕事に役立つ簿記の有意義さ」を知ってください。

 

 

すべての会社に「簿記」がある。

簿記をざっくりとイメージしましょう。

みなさんの多くは、健康診断で、レントゲン検査をした経験があると思います。
レントゲン撮影によって、骨格やその他の機能に問題がないか、がわかります。

からだのつくりは、大きい人も小さい人も基本的にみな同じです。

もし、仮にレントゲンで、会社という組織を検査すれば「簿記」が見えてきます。
これは、上場されている巨大企業も、街の小さな個人商店もみな同じです。

すべての会社には、必ず簿記が存在します。

 

簿記は会社の「お金を管理する」こと

 

簿記とは「帳簿記入」の略です。
これは、お金にかかわる取引を帳簿に記入することを意味します。
簿記によって、会社のお金の動きが正確にわかります。
会社は、かならずお金を使います。
このため、かならず簿記が存在するというわけです。
簿記で、どんな複雑な取引も、きれいにシンプルに処理することができます。

 

複式簿記とは何か

これから学習していく簿記は「複式簿記」です。
これは、意外に簿記の本に書かれてないことが多いようです。

複式簿記とは、

「一つの取引を2つの視点で考える」

ということです。

物事には、かならず、2つの面があります。
慎重な人は、優柔不断でもあり、決断力のある人は、独善的でもあります。

また、私たちの日常は、学校や会社、あるいは町内会など、さまざまな人間関係においても、
相手の立場になって考えることは、とても大切なことです。
物事を自分勝手な思い込みや独善的な判断を避けられるからです。

「自分はこう思ったけれど、相手の立場になって考えれば、なるほど、自分が悪かった」
と思えることも多々あるのではないでしょうか。

私たちは、自分の意見や考え方が正しいと思いがちです。
しかし、物事を相手の立場で考えること。
つまり、2つの視点で考えれば、バランスと良識ある考え方に近づくのではないでしょうか。

 

この

「1つの物事を2つの視点で考える」

ということが、簿記の「しくみ」そのものなのです。

 

簿記で「決算書」が作成される

会社は、年に1回、決算書を作成します。

決算書とは、1年間の会社の「財産」や「もうけ」を集計した会計資料です。
決算書は、大きく2つの種類があります。

□会社の「財産」がわかる「貸借対照表」(たいしゃくたいしょうひょう)」と
□会社の「もうけ」がわかる「損益計算書」(そんえきけいさんしょ)」です。

この決算書は簿記によって作成されます。

会社を経営するうえ、今、どれくらいの財産があり、借金はいくらあるのか。
また、いくらの「もうけ」があるのか。
あるいは、損をしているのか、を知っておく必要があります。

決算書は、会社を経営するうえで、非常に大切なものです。

さらに、会社を取り巻くさまざまな取引先にとっても決算書は大切な資料です。
銀行が融資するかどうかは、その会社の決算書を参考に判断します。
法人税などの税金は、決算書に基づいて、決定されます。
新しく取引をはじめるときの与信は、決算書が重要な参考資料となります。

このように決算書は、会社にとって、必要不可欠な重要なものです。
そして、この決算書を作成するために簿記が必要不可欠な知識なのです。

簿記が、ビジネスの古典的な知識といわれる所以です。

 

簿記で身につく3つのこと

簿記を学ぶことで、ビジネスで大切な3つのことが身につきます。

 

その1 経営感覚が身につく

ビジネスにおいて、人は大きく2つの立場に分かれます。

「経営者」と「働く人」です。

簿記は「経営者」側の視点でつくられたものです。
もっとも、わかりやすい例は、お給料に対する考え方です。
世の多くの人は、雇用される側の立場です。
すなわち、お給料を会社から「もらう」立場です。
しかし、簿記では、経営者の立場で、お給料を社員に「支払う」と考えます。
つねに、経営者の視点に立っているのです。
このため、簿記を学べば、知らず知らず管理職としての資質である経営感覚が身に着きます。

 

 

その2 コスト感覚が身につく

モノやサービスを売るためには、さまざまなコストがかかります。
コストとは、モノやサービスを売るためにかかる必要経費と考えて下さい。
たとえば、車を売る販売店を考えてみましょう。
販売店は、車をメーカーから仕入れなければ、車を売ることができません。
この車を仕入れる代金がコストです。

 

つぎの例を考えてみましょう。

たとえば、1000万円の売り上げに950万円のコストがかかれば、利益は50万円です。
一方、100万円の売り上げでもコストが20万円なら、利益は80万円になります。

このことから

「売り上げが大きいと、利益も大きくなる、わけではありません」

 

売上が大きくても、利益が小さい会社があります。
これとは反対に売上が小さくても、大きな利益が出ている会社もあります。
単純に売上げの大きさで、会社の業績を判断することはできません。
会社の業績の良し悪しを判断するには、売上げだけでなく、利益も考えなければなりません。

簿記を学ぶことで

「いくらの売り上げで、いくらコストがかかり、いくらの利益になる」

コスト感覚が、身につきます。

 

その3 決算書を読むことが身につく

簿記の最終的なゴールは「決算書」の作成です。
(注)初級講座では、決算書作成の直前の作業である試算表の作成までです。

決算書である貸借対照表や損益計算書は、簿記によって作成されます。
このことは、簿記お知ることで、決算書を理解できることを意味します。
決算書をつかって、会社をさまざまな視点から分析することを「決算書を読む」といいます。
つまり、簿記を学ぶことで「決算書を読むこと」が身につくことになります。

 

□第二講義 簿記のルールとは何か

投稿者プロフィール

伊達敦
伊達敦中小企業研修協会 代表 
東京都武蔵野市。
決算書の見方、経営分析などマネジメントに知悉している商社勤務の実務家。
統括責任者として全国3000社を超える販売店及び代理店の経営実態の把握、
経営指標の分析に辣腕を発揮した。
また霞が関の中央官庁との交渉窓口も担当する。
独創的な決算書解説や経営分析理論は、海外でも高く評価され、著書は海外でも翻訳されている。
商業高校で、簿記の基本を学び、大学で簿記理論を体系的にしっかり学んだ。
大学在学中は、会計学の大家、中村忠教授、飯野利夫教授から 指導を受けた。また、日本簿記学会会長だった安平昭二教授から簿記の帳簿組織に関する論点を直接指導を受けた貴重な経験を持つ。
おもな著書 「まだ若手社員といわれるうちに知っておきたい会社の数字」講談社刊。ほか、決算書、経営分析に関する本をぱる出版、実業之日本社からの全国出版実績あり。
中小企業研修協会代表。ファイナンシャルプランナー。
欅坂46、櫻坂46の大ファン。DVDをすべて揃えている。元欅坂46の佐藤詩織のファンであり、櫻坂46の推しメンは、関有美子。