初級原価計算⑤ 完成品と仕掛品とは何か
当月製造原価とは何か
1か月間に直接材料費、直接労務費、直接経費、そして、製造間接費の配布額を
集計した合計額を「当月製造原価」といいます。
ところで、1か月間、製品を製造するにあたり、すべての製品が都合よく完成するわけでは
ありません。製造は、継続して行われますから、当然ながら、月末に未完成状態の製品あります。
この未完成製品を「仕掛品(しかかりひん)」といいます。
【当月製造原価の構成】
直接材料費 | 当月製造原価 |
直接労務費 | |
直接経費 | |
製造間接費 |
さらに、当月製造原価は、「完成品原価」と未完成品である「月末仕掛品」に区分されます。
当月製造原価
| 完成品原価 |
月末仕掛品 |
【例題】 以下の資料から、完成品と月末仕掛品の原価を計算してみましょう。
□直接材料費
材料の月間消費量 500㎏ (うち完成品400㎏ 月末仕掛品100㎏)
材料の消費単価 200円/kg
□直接労務費
月間作業時間 100時間 (うち完成品80時間 月末仕掛品20時間)
消費賃率 1,000円/時間
□製造間接費(配賦基準は直接労務費の月間作業時間)
配賦率 1,500円/時間
【解答】
(計算過程1)
・直接材料費 完成品 400kg×200円=80,000円 /月末仕掛品 100kg×200円=20,000円
・直接労務費 完成品 80時間×1,000円=80,000円/月末仕掛品 20時間×1,000円=20,000円
・製造間接費 完成品 80時間×1,500円=120,000円/月末仕掛品 20時間×1,500円=30,000円
(計算過程2)
完成品原価 直接材料費80,000円+直接労務費80,000円+製造間接費120,000円=280,000円
月末仕掛品原価 直接材料費20,000円+直接労務費20,000円+製造間接費30,000円=70,000円
【メモ帳/虎の巻」
日々のデスクワークでイメージしてみましょう。
「完成品」、「仕掛品」を工場での作業工程でイメージしにくい人も多いでしょう。
そんなときは、デスクワークで考えるとイメージしやすいかも知れません。
つまり、日々のデスクワークでも、その日で作業が完了する仕事と翌日以降に
仕事が継続する未完成な仕事と大きく分けられるはずです。
その日で完了した仕事が「完成品」で、明日へ継続する未完成な仕事が「仕掛品」
とイメージすると、理解しやすいのではないでしょうか。