割戻と割引とは何か
「割戻」とは何か
「割戻(わりもどし)」と「割引」は、とても言葉自体は似ています。
しかし、内容は異なります。
まぎらわしいところですので、しっかり、区別しておきましょう。
割戻とは、大口取引における一部金額の免除額をいいます。
たとえば、1年間に消しゴム1個のみ取引するA社と1年間に消しゴム1万個取引するB社を比較し、考えてみましょう。
A社もB社も同じ取引先であることに違いはありません。
しかし、取引量と金額を考え、大口取引先であるB社に対し、代金の一部を免除をする場合があります。
この免除額を「割戻」といいます。
仕入代金に関する割戻は、「仕入割戻」。売上代金に関する割戻は「売上割戻」といいます。
割戻は、いわゆる値引きと同じ仕訳処理になります。割戻も値引きも商品の移動はなく、金額の減額処理にすぎません。
売上割戻の仕訳
借方 | 貸方 |
売上 ×× | 売掛金 ×× |
仕入割戻の仕訳
借方 | 貸方 |
買掛金 ×× | 仕入 ×× |
「割引」とは何か
割引とは「買掛金」や「売掛金」の代金が、支払期日前に決済された場合に
代金の一部を減額するものです。
割引は、決済方法による減額ですから、財務の取引による減額といえます。
これは、割戻や値引きの減額である営業の取引の減額とは、決定的に異なります。
[取引例]
A社は、B社から売掛金100,000円を2カ月後に受け取る契約をしていた。
が、支払期日前である1カ月後にB社より現金での入金があった。このため、3%の割引をした。
・A社の仕訳
借方 | 貸方 |
現金 97,000
売上割引 3,000 |
売掛金 100,000 |
・B社の仕訳
借方 | 貸方 |
買掛金 100,000 | 現金 97,000
仕入割引 3,000 |