工程別総合原価計算とは何か

工程別総合原価計算とは何か

工程別総合原価計算とは、同一製品を2つ以上の作業工程によって、
大量生産する製品に適用される原価計算です。

イメージとしては、ネジを大量に製造する工場においては、ネジの型を製造する工程とネジを塗装する工程があります。
これらは、同じ工程で製造してもよいですが、第一工程として、ネジの型を製造し、第二工程として塗装するというような工程を区分することができます。

このように複数の工程がある場合に適用される原価計算を工程別総合原価計算といいます。
この原価計算のメリットは、工程ごとに原価計算をおこなうため、工程ごとのムダを明確に把握することができることです。

 

工程別総合原価計算を計算する

 

工程別総合原価計算は、工程ごとに原価計算をしていきます。

具体的に例題を解いてきましょう。

 

[例1] つぎの資料にもとづき、第一工程及び第二工程の月末仕掛品原価、完成品原価を計算しなさい。
なお、月末仕掛品計算は、第一工程及び第二工程いずれも平均法で計算する。

 

生産データ

第一工程 第二工程
月初仕掛品           200 200
当月投入     1,300 1,400
月末仕掛品              100(50%)※             500(20%)
完成品 1,400 1,100

※   (   )は、加工進捗度。

 

原価データ

第一工程 第二工程
直接材料費 加工費 前工程費 加工費
月初仕掛品 96,000 82,500 120,400 99,000
当月投入量 480,000 396,000 441,000

 

計算方法

第一工程の直接材料費

第一工程数量 金額
月初仕掛品 200 96,000
当月投入      1,300 480,000
合計 1,500 576,000
月末仕掛品 100 38,400
完成品 1,400 537,600

 

第一工程の加工費金額計算(平均法)

第一工程数量 金額
月初仕掛品 200 82,500
当月投入            1,250 396,000
合計 1,450 478,500
月末仕掛品 50※ 16,500
完成品 1,400 462,000

 

 

月末仕掛品の平均法の考え方

平均法は、月初仕掛品の金額と当月投入分の金額を数量で割り、平均単価を算出し、月末仕掛品を計算するものです。

 

合計478,500円÷1,450個=@330円   平均された単価が330円になります。

これに月末仕掛品数量をかけて、月末仕掛品金額を計算します。

50個×330円=16,500円

 

参考 加工費換算数量の計算方法

 

直接材料費の月末仕掛品数量を50%で換算します。すなわち、100×50%=50

加工費の月末数量は50個になります。

 

この数字に基づいて、加工費の投入数量を逆算します。

第一工程数量
月初仕掛品 200
当月投入       ?
合計
月末仕掛品 50
完成品 1,400

 

 

第一工程数量
月初仕掛品 200
当月投入      1,250
合計 1,450
月末仕掛品 50
完成品 1,400

 

「?」の数字は、逆算すると、上記のような数字を計算することができます。

 

計算方法

第二工程の前工程費

前工程数量 金額
月初仕掛品 200 102,400
当月投入      1,400 999,600
合計 1,600 1,120,000
月末仕掛品 500 350,000
完成品 1,100 770,000

 

 

第二工程の加工費金額計算(平均法)

第一工程数量 金額
月初仕掛品 200 99,000
当月投入      1,000 441,000
合計 1,200 540,000
月末仕掛品 100 45,000
完成品 1,100 495,000

 

 

月末仕掛品の平均法の考え方

平均法は、月初仕掛品の金額と当月投入分の金額を数量で割り、平均単価を算出し、月末仕掛品を計算するものです。

合計540,000円÷1,200個=@450円   平均された単価が450円になります。

これに月末仕掛品数量をかけて、月末仕掛品金額を計算します。

100個×450円=45,000円

 

 

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