初級原価計算④製造直接費, 製造間接費とは何か

製造直接費と製造間接費について、具体的に説明していきます。
原価計算の基本中の基本になりますから、しっかり学んでいきましょう。

製造直接費とは何か

原価のうち、直接材料費、直接労務費、直接経費といった製造直接費は、どの製品にいくら
かかったのか、が明確な原価です。
このため、製品に集計することが容易になります。
この製造直接費の集計を「直課(ちょっか)」といいます。

たとえば、異なる製品であるA製品とB製品を製造している工場があります。
直接製造費をA製品とB製品にそれぞれ直課すれば、以下のような原価計算表になります。

原価計算表

項目製品A製品B合計
直接材料費5,0003,0008,000
直接労務費4,0002,0006,000
直接経費1.0005001,500
合計10,0005,50015,500

A製品、B製品とそれぞれ明確に直接材料費、直接労務費、直接経費と区分することができます。
直接、賦課できるので「直課」というわけです。

製造間接費とは何か

製造間接費である間接材料費、間接労務費、間接経費は、個別の製品ごとにいくらかかったコストなのか、
明確ではありません。
このため、何らかの基準を用いて各々の製品に振り分けることになります。
この基準を「配賦(はいふ)基準」といいます。
製造間接費は、さまざまな配賦基準によって、各製品に結びつけられます。

【例】 次の資料に基づいて、原価計算表を完成させなさい。

[資料] 製造間接費の実際発生額は、8,000円である。
配賦基準は、直接作業時間を用いること。

                                  製品A      製品B           計

直接作業時間      40h          60h     100h

配賦基準  8,000円÷100h=80円(1h)

原価計算表

項目製品A製品B合計
直接材料費5,0003,0008,000
直接労務費4,0002,0006,000
直接経費1.0005001,500
製造間接費3,2004,8008,000
合計13,20010,30023,500

【参考:配賦基準の計算】

製品A  40h×80円=3,200

製品B  60h×80円=4,800

【メモ帳/虎の巻】

ラーメン店でイメージしましょう。

原価計算表

項目塩ラーメンみそらーめん合計
麺(直接材料費)5,0003,0008,000
調理人(直接労務費)4,0002,0006,000
ガス代(製造間接費)3,2004,8008,000
合計12,2009,80022,000

                                  製品A      製品B           計

調理人の料理時間   40h          60h     100h

配賦基準  8,000円÷100h=80円(1h)

【参考:配賦基準の計算】

塩ラーメン   40h×80円=3,200

みそラーメン  60h×80円=4,800

初級原価計算⑤ 完成品と仕掛品とは何か