標準原価計算の差異とは何か
標準原価計算の差異とは何か
標準原価と実際原価との間の差額である原価差異は、当月投入量に対する標準原価(当月標準製造費用)と当月の実際原価(当月投入量に対する実際原価)の差額で計算します。
標準原価から実際原価を差し引いてマイナスなら、不利差額になります。
標準原価から実際原価を差し引いてプラスなら、有利差額になります。
原価差異の基本的な考え方
計算式 | 結果 | 差異の名称 | 理由 |
標準原価―実際原価
(注)当月投入量 |
― | 不利差異 | 目標値よりも実際消費が多いため |
+ | 有利差異 | 目標値よりも実際消費が少ないため |
標準原価計算の差異を計算する
具体的に計算してみましょう。
つぎの資料に基づき、直接材料費差異、直接労務費差異、製造間接費差異を計算する。
・生産データ
月初仕掛品 | 200(40%) |
当月投入 | 1,200 |
合計 | 1,400 |
月末仕掛品 | 200(50%)※ |
完成品 | 1,200 |
※ ( )は、加工進捗度。
材料はすべて、工程の始点で投入している。
・標準原価データ
標準単価 | 標準消費量 | 計 | |
標準直接材料費 | @100 | 5kg | 500円 |
標準賃率 | 標準直接作業時間 | 計 | |
標準直接労務費 | @150 | 3h | 450円 |
標準配賦率 | 標準直接作業時間 | 計 | |
標準製造間接費 | @200 | 3h | 600円 |
製品1個あたりの標準原価 500円+450円+600円=1,150円
・実際原価データ
直接材料費 620,000円
直接労務費 530,000円
製造間接費 750,000円
[解説・解答]
当期製造費用
直接材料費 @500×1,200個=600,000円
直接労務費 @450×1,220個=549,000円
製造間接費 @600×1,220個=732,000円
計 1,881,000円
直接材料費
直接材料費数量 | |
月初仕掛品 | 200 |
当月投入 | 1,200 |
合計 | 1,400 |
月末仕掛品 | 200 |
完成品 | 1,200 |
加工費
加工費数量 | |
月初仕掛品 | 80 |
当月投入 | 1,220 |
合計 | 1,300 |
月末仕掛品 | 100 |
完成品 | 1,200 |
標準原価の差異一覧
項目 | 当期製造標準原価 | 当期製造実際原価 | 差異 |
直接材料費差異 | 600,000 | 620,000 | △20,000 |
直接労務費差異 | 549,000 | 530,000 | 19,000 |
製造間接費差異 | 732,000 | 750,000 | △18,000 |
△は、不利差異、無印は有利差異。