総合原価計算とは何か
総合原価計算とは何か
総合原価計算とは、同じ製品を大量に生産する場合に適した原価計算方法です。
同じ種類の製品を大量に生産するネジ工場などをイメージすると良いでしょう。
総合原価計算は、製造原価を直接材料費と加工費に分けて計算します。
直接材料費は、ある製品がいくらかかったのかが、明確な材料費です。
加工費とは、直接材料費以外の原価をいいます。
原価計算の種類 | 製造原価 |
総合原価計算 | 直接材料費 |
加工費 |
直接材料費と加工費の投入時期について
直接材料費は、ふつう、製品をつくりはじめるとき、完成までに必要な量をすべて投入します。
これに対して、加工費は、加工が進むにつれて発生する原価です。
たとえば、ある製品が完成するまでに8時間を要するとします。
このときの加工作業は、午前中4時間、午後から4時間の合計8時間というイメージです。
すなわち、加工作業は、午前中4時間、午後から4時間という段階を踏んで、製品が完成される、と言い換えることもできます。
これが、基本的な加工費の考え方です。
加工進捗度と月末仕掛品換算量について
完成品と月末仕掛品は同等には扱えません。
その理由の一つは、完成品に対して、月末仕掛品は未完成であるためです。
このため、月末仕掛品は、完成品の数量に換算して計算する必要があります。
すなわち、完成品数量に換算した月末仕掛品の数量を計算するわけです。
これによって、完成品と同等に扱うことにするのです。これを完成品換算量といいます。
完成品の換算量は、月末仕掛品に加工の進み具合(加工進捗度)をかけて計算することになります。
完成品換算量=仕掛品数量×加工進捗度
[例1] つぎの資料にもとづき、月末仕掛品原価、完成品原価を計算しなさい。
生産データ
月初仕掛品 | 0 |
当月投入 | 1,200 |
月末仕掛品 | 200(50%)※ |
完成品 | 1,000 |
※ ( )は、加工進捗度。
原価データ
直接材料費 | 加工費 | |
月初仕掛品 | 0 | 0 |
当月投入量 | 480,000 | 396,000 |
[例1 解説・解答]
直接材料費の仕掛品勘定は、以下のとおり。
直接材料費の仕掛品勘定
当月 数量 1,200個 金額 480,000円 | 完成品 数量 1,000個 金額 400,000円 |
月末仕掛品 数量 200個 金額 80,000円※ |
※ 直接材料費の月末仕掛品 480,000円÷1,200個=400円 200個×400円=80,000円
加工費の仕掛品を計算するためには、2つの段階を踏みます。
まず、加工費の月末仕掛品の換算数量を計算します。
仕掛品勘定
当月投入 数量 1,100個 | 完成品 数量 1,000個 |
月末仕掛品 数量 100個 |
加工費の月末仕掛品数量の計算方法
200個×50%(加工進捗度)=100個
月末仕掛品の換算数量を計算したのち、当月投入数量を計算します。
当月投入数量=完成品数量+月末換算数量
このケースの場合、1,000個+100個=1,100個
加工費の仕掛品勘定は、以下のとおり。
加工費の仕掛品勘定
当月 数量 1,100個 金額 396,000円 | 完成品 数量 1,000個 金額 360,000円 |
月末仕掛品 数量 100個 金額 36,000円 |
直接材料費の仕掛品と加工費の仕掛品分を加算することで、仕掛品全体の金額が計算されます。
月末仕掛品原価 80,000円 + 36,000円=116,000円
完成品原価 400,000円+360,000円 =760,000円