実務において、手形取引とは、「現金での受け取り、または、支払いがない取引」ということになります。現金の授受がなくても取引先との売買が成り立つというわけです。これは、つぎのようなことを意味します。手形取引をおこなうときは、必ず、取引先との信頼・信用できる関係が成り立っていなければならない、ということです。
手形取引をイメージしてみましょう。
あなたの会社は、今、仕入先であるA社から1000万円の商品を仕入れたいと考えています。残念ながら、あなたは、1000万円の現金がありません。しかし、30日後には、得意先B社から売掛金代金3000万円が入金する予定です。このとき、A社が手形での支払いを了承してくれれば、60日後の支払いを約束する手形を発行し、A社から1000万円の商品を仕入れることが可能になります。手形取引が、取引先との信頼・信用関係が大前提という意味がわかると思います。そもそもA社が手形での代金支払いを拒否すれば、売買が成り立たないからです。
それでは、つぎに手形取引の「約束手形」「為替手形」についてみていきましょう。
約束手形とは2人の間で約束する手形の取引です。
したがって、約束手形に関する登場者は2人ということになります。
仕訳のポイントは2つです。
約束手形を受け取った時
このときは、借方に「受取手形」を仕訳します。
借方 | 貸方 |
受取手形 | — |
[例]商品100,000円を売り上げ、代金は約束手形で受け取った。
借方 | 貸方 |
受取手形 100,000 | 売上 100,000 |
約束手形を受け取ったのですから借方に「受取手形」を仕訳することになります。
約束手形を支払った時
このときは、貸方に「支払手形」を仕訳します。
借方 | 貸方 |
— | 支払手形 |
[例]商品80,000円を仕入れ、代金は約束手形で支払った。
借方 | 貸方 |
仕入 80,000 | 支払手形 80,000 |